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そんな平凡な日でいいから、ずっとずっと続いて欲しかったのだけれど。永遠なんて、やはりないのだった。
咲いていた桜がひらりひらりと散ってしまうように。あんなに暑かった夏が気がついたら終わっていて、すっかり秋の気配を漂わせているように。ゆっくりゆっくりと、でも確実に時間は流れている。
嫌になるぐらい晴れている空を眺めていると、今のこの状況は嘘なんじゃないかと思えてくる。私があまりにもぼんやりとしているので、父と母が、いろんなことを代わりにやってくれた。
心配した母が康充を呼んでくれたけど、私は何も話さなかった。言葉が見つからなかったのだ。それは向こうも同じみたいで、私のことを見て肩に手をポンと置いた。私は無言で頷いた。それで充分だった。
康充はそのあとずっと、父と母と当たり障りのない会話をしていた。たまに私のことをチラチラと見ていた。心配してくれているのだろう。
あまりにもショックで、受け止めることができない私の状態を、康充は分かってくれているのだなとぼんやりと思った。でも考えるのもわずらわしいほど、頭が体が心が疲れ切っていた。
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