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 産まれた三匹の仔猫とともに、ミケ子さんは、うちの子となった。目も開いていない赤ちゃんだった猫が少し成長して、ニャーニャーと鳴きながら部屋中を走り回るようになった頃、仔猫は親戚や近所の人にもらわれていった。  一年が過ぎる頃には、私はクラスでたくさんの友達に囲まれて、いきいきとした学校生活を送っていた。家の近所には、ミケ子さんにそっくりな仔猫が闊歩するようになった。ミケ子さんの子がさらに子――ミケ子さんにとっては孫――を産んだらしく、町内は新たな命の芽生えにほんわりと華やいだ。  ミケ子さんは家の子になってもやっぱりミケ子さんで、他の猫をいじめたり、ご飯を横取りしたりと、なかなかたくましかった。また、狩人の血も強いらしく、鳥や虫をくわえて帰ってくることもけっこうあった。一度、蛇をくわえて帰宅したことがあった。しっぽをピンと立てて、とても得意そうな顔をしていた。でも、家の中は大騒ぎになった。あまりにも私と母がキャーキャーと叫ぶので、近くの畑で作業をしていた人が、泥棒でも入ったのかと心配して様子を見にきたぐらいだ。
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