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「義高様は、お出かけになっています」
「どこへ?」
「どことは言えませんが…大事なお役目なのです」
「お役目?いつお戻りになるの?」
「すぐですよ。姫様は大人しく待っていましょうね」
「…うん」
納得はできなかったけれど、すぐに戻ると言うのなら待つしかないと思いました。
けれど、次の日になっても義高様は戻っては来ませんでした。
私が小御所で会う人会う人に義高様の行方を聞いていると、急に侍の出入りが激しくなり、ただならない気配になりました。
いつもとは違う物々しい空気に、さすがにそれ以上我儘も言えず、けれど心配の余り乳母や身の回りの女房たちには大声でまくしたてていたのです。
「義高様はどこに行ったの」
「どうして誰も教えてくれないの」
「義高様は姫のお婿様でしょう!」
不安で仕方がないのに誰も答えてはくれず、数日が過ぎて…。
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