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 その公園は住宅街の中にある。 危険と見なされる遊具が撤去されて滑り台と鉄棒しか残されていない寂しい遊び場に、広い敷地のほとんどを占める、ケヤキやハナミズキなどの林に囲まれた遊歩道。 平日の昼時では散歩する人さえいない遊歩道の途中で、村瀬涼一は足を止めた。 道の端に置かれた、ちょうど大きな木の木陰に入るベンチ。そこから少し離れたところには、古びた公衆トイレと水道がある。  ベンチの横に立った涼一は顔を上げ、林の奥に目をこらした。 ……あった。 木々の間から見える、人工的な青。ブルーシート。  間違いない。この場所だ。  涼一は帽子のつばを掴んで俯き、まだ新品同然のスニーカーの靴先を見下ろした。  そのまま、五分以上はそこに突っ立っていたと思う。  ようやく意を決し、柔らかい土の上に足を踏み出した。  昨日のことだ。昨日はとても五月とは思えない暑い日だった。そもそも連休中からずっと各地で二十五度を越す夏日を記録していたそうだが、週に一度しか外出しない涼一には関係のない話だった。 しかし昨日は、まさにその外出日。いつも通りに昼過ぎの時間帯に外出すると、そこは地獄だった。     
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