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「謝らなくていいの。涼くんはなんにも悪い事なんてしてない。お母さん知ってるよ」 「そんなことないよ。僕が悪かったんだ。……僕、あのとき、お母さんを傷つけるつもりで酷いことばかり言ったんだ」 「…………」 「あのときの僕は自分のことでいっぱいいっぱいで、凄くつらくて、どうして自分ばっかりって……自分のことしか考えられなくて、全部、誰かのせいにしないとやってられなかった。だからお母さんが傷つくようなことばっかり言って、自分のつらさから逃げたんだ」 凉江の肩から力が抜ける。何か言いたげな顔をして、けれども何も言わず、静かに首を横に振った。  分かっていた。凉江はいつもそうやって息子のすることはなんでも許してくれるのだ。そういう母親に、涼一はいつも甘えていた。 「あのとき言ったこと……全部嘘だから。僕、昔からずっとお母さんのことが一番大好きだったよ。お母さんはいつも優しくて、仕事もできて格好よくて、一番大好きだった。だから僕……これまでいろいろあったし、お母さんが自慢できるような子供じゃないと思うけど……でも僕……お母さんの子供で良かったよ。……お母さんが僕のこと産んでくれて……生まれてきて良かったって、本気で思うよ。そう、思えるような――」  出会いがあった。  真崎と出会えた。     
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