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そんなことを考えながら公園の手前まで来たところで、見覚えのあるずんぐりとした男の背中を見かけた。鈴木だ。  声をかけようと思ったが、鈴木の前には見たことのないスーツ姿の男が立っている。スーツ姿の男は鈴木に向かってペコペコと頭を下げ、涼一がいるのとは反対側へ歩いて行った。涼一は鈴木に駆け寄った。 「鈴木さん! おはようございます!」  鈴木は振り返り、「おう、涼ちゃんか。おはよう」と強面の顔を破顔させた。 「昨日はありがとうございました」 「いいよいいよ。むしろ毎度ジジイの汚ぇツラばっかだったのが涼ちゃんのおかげで華やかになったよ。こっちこそありがとね」 「あの、さっきの人はお知り合いですか?」 「ああ。ヤツは役所の人間だよ。最近よく来んだよな。公園から出てけって」  ここ出てどこ行けっつうんだよな――冗談めかし、鈴木は生臭い息を吐きながら笑った。 「……大丈夫なんですか?」  ようやく言えたのはそれだけだった。 「心配かい?」 鈴木はウエストポーチを開き、メイド喫茶の広告が入ったポケットティッシュを出しながら言った。 「そういや涼ちゃん、今日はやけに早いな。マサならまだテントの辺りにいると思うぞ」  ティッシュを一枚だけ出し、残りはポーチに片付ける。     
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