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いつの間にか、二人は公園の入り口前に到着していた。鈴木は足を止め、蒼白になった涼一の顔を哀れむように見つめた。 「涼ちゃんは、アイツにガキがいるって話も聞いてねぇわけか」  首を縦に振る。それが精一杯だ。  鈴木はウエストポーチの上に蝉の死骸を置き、ポケットから煙草を出して火を点けた。  吸い口を咥え、眉間に皺を寄せてゆっくりと煙を吸い込む。そして乾いてひび割れた唇から煙草を離し、白い煙と一緒に吐き出した。 「こんな子供をいいようにしといて、自分のことは何一つ教えてやらねぇなんてな。アイツも本当にろくでもねえ野郎だ」 「え……?」 緩慢に瞬きをして、鈴木の目を見つめ返す。 逆に、鈴木は目を逸らした。 「あんなとこであれだけアンアンパンパンやってりゃ嫌でも気づくって。俺以外に気づいてる人がいるかは分かんねえけどな」 「……ち、違うんです。真崎さんは……」  しかし鈴木は、「あー、いいいい」と面倒臭そうに首を横に振った。 「頼むからやめてくれよ。俺はカマとか男同士がどうのってのが気色悪くてな……。頼むから何も言わないでくれ。俺はアイツのことも涼ちゃんのことも嫌いたくねぇんだ」  涼一は黙って頷いた。それ以外、どうしたらいいのか分からなかった。 「……涼ちゃん。ちょっと聞いてくれるかい」     
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