といかけにこたえはなく

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といかけにこたえはなく

 私と彼の関係性を、何と表現すべきでしょうか。  真っ暗な狭い空間で膝を抱えて、指先で裸の鍵を弄んでは溜め息をついて、解の出ない問いを繰り返すこと十数分。ただ単純に友人と呼ぶのは恐らく適当ではない……はず。けれど、恋人というほど甘くもなく、確たる言葉を交わしたこともなく……渡された合鍵の硬さと冷たさをよすがとするように握りしめては嘆息するばかり。  ただの友人とも、恋人とも呼べず……ただ、二人だけの重要な事実であり、絶対の秘密として――彼は私を縛り、私は彼に縛られている。その秘密をもって、あるいはパートナーとすることも出来るかもしれないけれど……それも、今は。 (あの話が嘘や、勘違いであれば――どんなにか)  がちゃり、と錠が回って、アパートの扉が開く軋み音が響く。ぱちりぱちりと電気のスイッチを入れる音と……誰かを部屋に招く、彼の声。かつかつといやに響く、高く細いヒールの靴音。  断りもなく合鍵で忍び込んだ彼の部屋。暗く狭いクローゼットで息をひそめて、彼が女性を連れ込むのを覗き見ている。こんな女とパートナーだなんて。     
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