彼女の喉元に脇差しをば差し上げ候

2/3
前へ
/3ページ
次へ
かごしまはドラスティック かごしま近代文学館にて現役プロ作家様の講演会がありました。 私にとっても恐らく大半の作家にとっても商売敵であるご同業の者は総て敵でありますので、敵から発せられたこちらを利する言葉だけメモをとって、あとは講演する彼女の目の前でドデカイ大漢和辞典を取り出し、堂々と内職をしながら必要な情報だけ耳に入れて、面白そうな言葉や人名は右手ではなく左手でペンを持ち大漢和辞典に直接書き込み、斜めにざっくりと袈裟斬りの如く折り目を入れました。 彼女は講演中 加治木のくも合戦について言及なされたのでこれはしたりと、講演終了直後 他の人はサイン会に列を成す為に席を立ち始めた中、私だけ壇上に上がりプロ作家様へ 「加治木で生まれた者です」 と名乗りをあげて 「私の絵本を20秒でいいから読んでくれませんか?」 と伝えました。 その時の彼女の苦みばしった嫌そうな顔。 彼女の本性を引き出して差し上げました。 彼女は不意を突かれたか一言も発せず、そして私の絵本を1ページも捲らずご硬直なさっておられたところ 「先生はこれからサイン会がありますので」 と学芸員から助け舟が入りました。 「では、いずれ、ま
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加