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二人が川から離れた後、川岸の樹の下に、深緑色の“なにか”が浮かび上がってきた。
「ヤレヤレ、アノ餓鬼モ相変ワラズ世話ノ焼ケル奴ヤナァ。ズット昔ニモ溺レタノヲ助ケテヤッタガ、アノ時カラ全然成長シトランワ。マア、アノ娘ガツイトレバ大丈夫カ」
“それ”はそう呟くと、ぽちゃんと水音を立てて潜っていった。
陽はすでに西の山の向こうに沈みかけ、揖斐川の水面は光に照らされて輝き、悠々と流れていた。
了
参考文献
『揖斐川』編集・発行 揖斐郡教育会
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