揖斐川河童紀行

13/13
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 二人が川から離れた後、川岸の樹の下に、深緑色の“なにか”が浮かび上がってきた。 「ヤレヤレ、アノ餓鬼モ相変ワラズ世話ノ焼ケル奴ヤナァ。ズット昔ニモ溺レタノヲ助ケテヤッタガ、アノ時カラ全然成長シトランワ。マア、アノ娘ガツイトレバ大丈夫カ」  “それ”はそう呟くと、ぽちゃんと水音を立てて潜っていった。  陽はすでに西の山の向こうに沈みかけ、揖斐川の水面は光に照らされて輝き、悠々と流れていた。 了 参考文献 『揖斐川』編集・発行 揖斐郡教育会
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!