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楽そうだからって理由で始めたカフェのアルバイトは、思っていたよりも覚える事は多くて、最初は(面倒くせーな)と思っていたけれど、慣れてくればさほど大変でもなく、出来ることが増えれば、色々と任されるようになり、遣り甲斐も出てくる。
それと同時に見えてきたのは、ちょっと頼りなく見える店長の事…。
オーナーは別にいて、お店に顔を出すことは殆ど無い。
雇われの店長はまだ若く、スッとした顔立ちはイケメンの部類に入るだろう。
良い男風のアゴヒゲと、柔らかそうな栗色の癖毛を邪魔にならないようにピンで留めてる、オシャレ系。
雰囲気はソフトで優しそう。
事実、優しい…っていうか、パートさんにもバイトの奴らにも、ちょっと甘く見られてる節がある。
見た目と違って、バカみたいに真面目で、人に任せちゃえばいいのに、いつもひとりでワタワタしてる。
だからつい、見てらんなくて声を掛け、手伝ってしまうのだ。
「三木君、いつもごめんね。」
眼鏡の奥の細い目を更に細くして笑いかける。
疲れた顔を見てしまうと、不思議と何かしてあげたいという気持ちになる。
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