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「失礼……」
そう言ってスマホの画面を確認した彼は、短いため息をつくと、そのままカバンの中へしまった。その行動から、仕事のものではないことがわかる。
……イヴの夜に来るメッセージ……。
「いいんですか? 」
「ええ。どうぞ」
そう言って、グラスにお酒をついでくれた。私も彼のグラスに注ぐ。
「女性にとって、年齢は……1つ1つ重ねる毎に重みを増すのでしょうか」
あ、さっきの続きか。メールの相手に気をとられ、何のことか一瞬わからなかった。
「26にもなっても変わらず、何も気にしてこなかった自分に反省します」
「26! ……そっか……いいなぁ。まだ26歳かぁ……」
ちょっと老け、……落ち着きすぎじゃない?とは、思うけれど。
26歳……もっと若い頃、私が結婚してただろうと思っていた年。今となっては随分若い年に感じる。
「変わらないですよ。3つです。たかが」
「変わりますよ! ぜんっぜん違います!! 」
思わず身を乗り出す。
「結城さんより、精神年齢は私の方が低い自信はありますが……肌艶とか、体力とか、内臓とか……」
内臓って……こんなに食べといて。
「男の人は若い方が好きでしょ!? 3つ上の29より3つ下の23の方がいいに決まってる! ピチピチだもん!! 」
乗り出した身をゆっくり戻す。
乗り出しては……ダメな距離でした……。
『だもん』って……こんなだから、精神年齢が追い付かないんだ。自分にがっかりついでに、しっかりと座った。
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