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第3話 side yoshiko
それから、昼休みの出来事をポツリポツリと話した。
29歳の誕生日を来週に控えて、3年付き合った彼氏に振られた事を。
「うわ、それ昼休憩にする話じゃないですね……」
るなちゃんの可愛い顔が曇った。
「よっぽど、忙しいのね。でも、昼から仕事があるの、考えて欲しいよね」
麗佳さんも綺麗な顔をしかめた。
「お互い気持ちは変わらないわけだし、転勤さえなければ……せめてもう一度話し合ったらどうですか? 」
「中途半端な気持ちで、別れ話をするような人ではないから、きっと相当悩んで出した結論なんだと思う。もう一度話しても、結論は変わらないよ」
「別れ話に時間をかけれは、双方が納得できるかというと……そうでもないですよね」
……彼が口を開いたことにみんなが驚いた。
「未来があるのなら、これからのために話し合いは必要だと思いますが。……限られた時間での別れ話は、彼の優しさかもしれません」
意外な言葉に誰もが口をつぐんだ。確かに、時間の制限が無ければ……。
大輔は、この選択肢しかないからこそ、昼休みでの別れ話を選んだのかもしれない。
「すみません……。でも、辛いのは彼も……彼の方かもしれません」
「縁が無かった……。3年分しか」
麗佳さんがボソッとそう言った。
「気持ちは、そんな簡単に終わらせられないですよね……」
るなちゃんが俯く。
「うん……。そうだね。3年の思い出って忘れるのに3年かかるのかな? そんな時間かけれる年齢じゃないけど……」
自虐的に笑って言った。
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