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「では、河合さんにとっても……3つ下の方がいいという事ですか……? 」
おっと、そう来たか?そう来るのか……
近い。そして……いつの間にか正座しちゃう。
「いや……個人差……というか……男女差があるかな……と思いますが……」
歯切れ悪く答える。
「年下は……嫌いですか? 」
な、な、何を言うんだ。この人は。
「ふっ……」
うわ、でた。からかわれたのか。すぐさま、俯く。
「すみません」と、まだ口角を少しだけあげたままの彼が一言謝って続けた。
「私は若さに重点を置きません。それに……河合さんは若く見えますよ。だけど……中身は、大人の女性です。いつも、職場を明るくして下さっている」
わ……急に褒められた。そっか、若さに重点を置かない。あ、前の彼女……私より年上だったのか。こんな、お酒で前髪を濡らしている女に女性だなんて……結城さんって……結構……。
ぐいっとグラスを空ける。ヤバい。クラクラしてきた。お酒のせいか……彼のせいか。
空いたグラスに彼がまたお酒をついでくれる。酔いにか、勢いにか……まかせて
「結城さんは、すっごい大人ですよね! 」
饒舌に続ける。
「紳士だし! だいたい26歳で自分の事“私”とか、相槌が“ええ”とか、そんな人……いますー? 」
べらべらと、止まらない。
「私なんて“うん”とか、普通に言っちゃうし、それに、それに……ずーっと敬語だし! 私、年上だけど。大友さんも吉良さんも、麗佳さんも私にタメ語なのに……。なんなら、結城さんは年下のるなちゃんにも敬語だし! 」
「……あー……大友が最初に河合さんの事、年下だと思っていたらしく……敬語を使わなかったのがきっかけで、吉良も中条さんも、それに習ったみたいです。私は、自分で確認しましたので……」
少し考える素振りをしてから、
「ほら、やっぱり……若く見えるんですよ」
結城さんはそう言った。
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