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「私は敬語が落ち着きますし、それに……女性とは一線を引きたいからかもしれません」
「なぜ……ですか? 」
私が聞くと、ちょっと困った顔をして
「……その……前回のようなことが……少なくなかったもので」
前回……?記憶を辿る。回りにくくなった頭でもわかる。階段での……。あの彼女の告白……。
「……やっぱり、モテるんですね」
当たり前の事を本人に言ってしまう。
「……いいなぁ。一線なんて、置く必要ないですもん、私なんて」
「近い、ですよね。河合さんは」
パーソナルスペースがね。物理的な一線じゃなくてね。
「よく、言われちゃいます。気をつけているんですけど。特に、吉良さんとか。でも、これが私の間隔なので……」
彼が、パッとこちらを見た。
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