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「自分が受け入れられない相手からの好意は、申し訳ないだけです」
受け入れられない……。それは、好きでもない相手ということ?
それとも……状況的に受け入れたくても受け入れられない相手ということなのかな。
「……そうですか」
「……そうですね。でも……線を引く必要のない相手にも引いていたかもしれません。大友や、河合さんのようにフランクに接することができる人に憧れます」
大友さんは……確かに。私は何も考えていないだけですが。気にしていたのか、結城さん。ん?そうだ!
「じゃあ、今から敬語禁止でいきましょう!! 」
ちょっと面白くなって提案してみる。お酒の力も多少借りて。口に入れたチーズを急いでお酒で流し込む。
「ね? 今から!! 」
「今から……ですか? 」
「はい、さっそくアウトー!! 」
面白くなって、野球の審判のようなジェスチャーをして言い放った。結城さんは、ちょっとまいったという顔で
「わかりました」
と、同意した。
「はい、アウト」
指をさして指摘する。顔を押さえる結城さん……。悪戯心が膨らむ。
「もう、罰ゲームにしよう! 敬語使ったら……うーん……どんな質問にも答える! とか? 」
おぉ、我ながら名案!好きなタイプとか?
……今日、あの彼女とどうなったのか?とか?聞けちゃう?
「……何か聞きたいことでも、あるの? 」
ぐわっ!!脳内バレバレ。名案と思った私の頭の悪さ、この上なし!
……そして……そして……ヤバい。
敬語じゃないの、ヤバい。相当ヤバい。
「……ある……」
観念して、そう言った。
「普通に聞いてくれたら、何でも答えるよ」
ふっと笑った彼は、そこから見事に敬語を封印された……。しゃべると不利な私はひたすら食べて、飲んだ。
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