第3話 side yoshiko

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「いいですか? 不安なんですよ。自分の事を好きになってくれないどころか、見てもくれない相手といるのは。ましてや、その容姿でしょ? 次から次へと言い寄られ、努力むなしく、自分に無関心。いつ別れを切り出されるか……。いつ誰かに取られるか……。その不安に押しつぶされる。無関心って、結構な罪ですよね。つまり、結城さんは直接何もしてないけれど、彼女たちが自分の不安に負けて、勝手に自爆していくんですよ」 「まるで……見てきたかの様に言うんですね」  結城さんはばつが悪そうに持っていたフォークを静かに置いた。 「あ! でも! ほら、社会人になってから“は”、“は”って言った! 」  フォローと、好奇心を混ぜ込んで言った。 「大学時代……4年間付き合った人が居ました」 「え! 学生時代はそこそこまともだったんですね。何があってこうなったんですか? 」  なかなか失礼なことを申す若者にも表情を変えず、 「彼女、7つ上だったんです。出会った当初、そんなに年上だと思わなくて、彼女もせいぜい1つ2つの差だと思っていたようです。彼女からのアプローチで、付き合ってからお互い年齢を知りましたが。そのまま4年。私が社会に出たと同時に……振られました。その3か月後に結婚したらしいと人づてに聞きました」 「「うわぁ」」 「それって……その結婚相手と同時進行……? 」 「えー!? 二股されてたんですかー? 結城さんが!? 」  る、るなちゃん……。 「いえ……。そこはわかりません。婚活とか、お見合い、交際0日婚なんかもありますし、……なんにせよ終わった事です」 「あ、でも7つ上って……26歳の社会人が学生と付き合うって結構キツイですよ。26歳から、4年って30歳まで!? 7つ下って分かっていても4年も別れなかったって、よっぽど結城さんの事、好きだったんですね、彼女」 「男女逆なら、結構アリかも。女性の30歳は辛かっただろうね」  自分と置き換えても、今学生と付き合う勇気など無い。 「大人の恋愛、一番いい時期ですよね。26歳からって。結婚を視野に入れたお付き合いしたいですよね……。それを、結城さんとはいえ、学生と……」  るなちゃんがそこで言葉を失った。るなちゃんの年齢でも厳しいらしい。
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