第4話 side yoshiko

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「食べないんですか……? それ」 「え」  クッキーの話かよ。 「いや、大好物なんですけどね。このクッキー。コーヒーにもめちゃめちゃ合うし! せっかく買って頂いたご厚意すら、大好物で」  よくわからないことを口走る。もう止まらない。 「でも、アラサーの独身女が太ったら目も当てられないぞっていうね? いや、ただでさえ太りやす……」 「では、私が半分請け負います」  請け負い? 「だから……もう、泣かないで……」  ぶ、涙目、バレてんの?  あわてて俯く。  彼は私の前からクッキーを取るとそのまま半分ほど召し上がった。 「これで、全部食べるより負担は半分ですみましたね」 「え、あ、はい」  クッキーの話かよ(2回目)  それに……食べかけ……間接キ……キ……キッス。  このクッキー、いくらで売れ……いやいや。慌てて半分のクッキーをほおばる。 「それと……」 「は、はい! 」 「お誕生日、来週との事でしたよね? 」 「は、はい! 」 「人生計画の30歳まであと、1年……」 「は、はい……」  言わないで、それ。いや、諦めてるけどね、もう……。 「では、その1年でお相手が出来なければ……私と結婚しましょう」 …………。 ………………。 ……………………。 「は? 」 「では、そろそろ行きましょうか」  ちょ、ちょ、ちょ。  なんて?  結婚?  誰と?  誰が?
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