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「食べないんですか……? それ」
「え」
クッキーの話かよ。
「いや、大好物なんですけどね。このクッキー。コーヒーにもめちゃめちゃ合うし! せっかく買って頂いたご厚意すら、大好物で」
よくわからないことを口走る。もう止まらない。
「でも、アラサーの独身女が太ったら目も当てられないぞっていうね? いや、ただでさえ太りやす……」
「では、私が半分請け負います」
請け負い?
「だから……もう、泣かないで……」
ぶ、涙目、バレてんの?
あわてて俯く。
彼は私の前からクッキーを取るとそのまま半分ほど召し上がった。
「これで、全部食べるより負担は半分ですみましたね」
「え、あ、はい」
クッキーの話かよ(2回目)
それに……食べかけ……間接キ……キ……キッス。
このクッキー、いくらで売れ……いやいや。慌てて半分のクッキーをほおばる。
「それと……」
「は、はい! 」
「お誕生日、来週との事でしたよね? 」
「は、はい! 」
「人生計画の30歳まであと、1年……」
「は、はい……」
言わないで、それ。いや、諦めてるけどね、もう……。
「では、その1年でお相手が出来なければ……私と結婚しましょう」
…………。
………………。
……………………。
「は? 」
「では、そろそろ行きましょうか」
ちょ、ちょ、ちょ。
なんて?
結婚?
誰と?
誰が?
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