第4話 side yoshiko

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 焦点すら合わず、立ちすくむ私を背にトレーを返却に行く結城さん。  店員さんと話を交わし、すぐに戻られる。 「行きましょうか」  ……。  聞き間違いかな?独女が見せた、悲しき妄想だったのかな?可能性的には妄想の方が高いな……うん。  可哀想な、私。こんな妄想まで……。トボトボと、結城さんの後を追う。 「はい、これ」  と、手渡される。 「え? 何……ですか? 」 「メモがなかったので、店員さんにいただきました」  私の手の中には空であろう、先程のラテが入っていたのと同じ紙製のカップ、およびプラキャップ。  “結婚予定日”  そう書かれていた。私の来年の誕生日の日付とともに……。 「証拠です。先程の約束の」  妄想乙。  ん?なに?  なに?  そこから……酔ってもないのに記憶を飛ばし、 「家まで……」  と、おっしゃった彼から逃げるように帰った。妄想ではないという証拠のカップを、両手にしっかりと持ったまま……。
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