第4話 side yoshiko

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 ――翌日  待てよ?待て、待て……。  散らかった部屋と同様に散らかった頭で考える。昨夜は考える事すら放棄し眠ってしまった。昨日は色々ありすぎた。  夢だったのか……どこからが?あれ?昼休みに振られて……でも、結婚の心配は無くって……。頭の中を整理したいのに、それを許されない平日の朝。  仕事に行く準備をしなければ……そう思って頭を抱えていた手を下ろし、立ち上がった。ゆっくりと思い出される昨日の出来事。    う、うわぁ~!!!!!  しゃがみこんで頭をかきむしる。  昨日、泣いたんだった!職場で!!飲みにも付き合わせて。めちゃめちゃ気まずい。会社……行きたくないな。  休む?いや、今日休んだら、いよいよヤバいと思われる。行きたくない。  辞める?傷心上の都合により……  アホか。そもそも傷心なのか。  待て待て、恋人無くして、仕事も無くす。無職のアラサー独女。  絶対ダメダメ。いや、辞めるわけないけど。……逃げ出したい。  再び立ち上がる。テーブル上に置かれた……物……認識に時間がかかる。   “結婚予定日”  油性ペンで書かれた綺麗な文字。 「ひぃー!!! 」  なんだー!そうだー!!なんだったのー!!  猛ダッシュした時より息があがる。そこから、一人で何度も頭を抱えては、現実に戻り……。昨夜同様、考えることを放棄すると、何とか会社に到着した。  ──大友さんは出張でいない。後の4人は打ち合わせで上フロア。今、1人。それをいいことに、机へ突っ伏した。はー……。もう……。昨日のリフレイン。頭の中に結城さんが現れた。カップを手渡され……それから……  その時、フロアのドアが開いた。  ビクッと肩が上がる。そーっとそちらへ目を向ける。思った人ではなく、それにホッとしたのかわかったのか。 「おはよう……びっくりさせちゃった? 」  総務部の綾さんの笑顔がそこにあった。綾さんは私が新卒の時に教えて貰った上司の様な先輩だ。 「お、おはようございます」  そうだ、会社だった。業務中……。 「この書類なんだけど、全員に書いて提出するように渡してくれる? えっと……今週中で」 「はい、わかりました」  綾さんから資料を受けとると、すぐに笑顔をつくった。
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