第6話 side yoshiko

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第6話 side yoshiko

 綾さんはじっと私の顔を見ると言った。 「それと……なにか、あった? 」  ギョッとして固まる。それが肯定とみなされ、不自然に視線を逸らしてしまった。  何で……顔?顔にでてる?思わず顔を撫でる。 「顔には何も、書いてないわよ? 」  クスクス笑う綾さんに、参った……とばかりにため息をついた。この人の勘の良さったら。 「ちょっと、雰囲気がね……仕事の事じゃなさそうだし、大丈夫ならいいの」  笑顔を向けられ、これ以上踏み込まないから大丈夫。そう言われた気がした。それでも、これ以上迷惑をかけないように自分から話した。 「あ、実は失恋しちゃって……すみません。業務に支障でないようにはしてるつもりですが」  綾さんはちょっとばかり驚いた表情を見せたが、優しい眼差しで 「そうだったの。てっきりプラスな方かと思ったから……。ごめんね、いいよ、辛かったら仕事こっちにまわして? 」 「え? いえいえ、大丈夫です。むしろ、仕事どんどんしたいくらいで! 」  そう言うと綾さんは笑って 「無理はしないでね? じゃあ、書類よろしくね」  そう言いながら、私の背中を軽くさするようにして、フロアを出て行った。  ……プラス?  良いことでもあった様に見えたって事?確かに、一瞬大輔の事、忘れてたけど。昨日、ここで泣いたってのにゲンキンだなぁ。それも、これも、結城さんのショック療法のおかげか……。
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