第1話 side yoshiko

2/6
24666人が本棚に入れています
本棚に追加
/638ページ
 そこに、この私。この5人のサポートをしている私……。 【河合佳子】28歳。あ、もうすぐ29歳。  この漢字で普通に佳子(よしこ)だ。名字も、見た目も、ごくごく“普通”   “普通” うん。普通?いやいや、私、自分の事“普通”だなんて思ってなかった。“そこそこ”くらいには思ってた……。加齢とともに多少の外見的自己評価は下がる。でも、主立っての理由はそこじゃない。  こんな中にいるもんで自分の評価はだだ下がり。美人は3日で飽きるというけども、負け惜しみに他ならない。皆の麗しさに毎日見とれている。  この造形美たちを前には嫉妬することすらおこがましい。    私は普通だと自覚せざるを得ない。いや普通にすら位置しないかもしれない。  “世界で最も美しい顔100人”  私が選んで良いなら間違いなく5人とも入れてる。顔で採ってんでしょ?あの会社。なんて、しょっちゅう言われる。しかも、性格も良い、仕事も出来る。全くもって非の打ち所がない。  おかげで業務はすこぶる円滑。ゆえの超ホワイト企業である。  社員を採る際の役員及び人事にものすごく目利きの人がいて、この結果だ。  人事総務を兼ねた部署に会社立ち上げからいる【綾さん】  彼女曰く、『学校とかでもいたでしょ? 顔ヨシ、頭ヨシ、運動神経ヨシ、性格ヨシみたいな何でもできる完璧な人。どこにでもいるのよ上位に一定数。そこを選んだだけ』だ、そうだ。  つまり、上位一定数の集まり。アレ?私は?そこは考えてはいけない気がした……。  でもさ、でもさ、私にもそれなりに需要はあるわけで……。  私には、つきあってもうすぐ3年になる3つ年上の彼氏がいる。だから、この5人は私にとって現実(リアル)ではなく見て楽しむ、いわゆる観賞用だった。  フロアを見渡し、幸せな溜息がこぼれた。  はぁ、眼福……。  今、人生のピークじゃないかな。
/638ページ

最初のコメントを投稿しよう!