ショートストーリー

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 中条さんは 「大友くん、吉良くんごちそうさまでした。とても美味しかったわ。お礼が遅くなってしまって、ごめんなさい。ありがとう。次は私が、必ず! 」  と、握りこぶしを作ってみせたが、大友と吉良によって必要ないと説得されていた。  やいやい言ってる中、河合さんの手前食べないわけにも行かず、さっきと同じように頭から食べる。 「あー、佳子さんも結城さんも食べ方一緒! 頭からですね」  相原さんに言われ、なぜ頭から食べるかは全く違う理由なのに、外からは同じに見えることに妙な気持ちになった。 「いや、んなもん一口だろ」 「あはは! 大友さんのサイズ感だとミニたい焼きがメダカに見えるね! 」  河合さんが、大友をからかう。 「メダカ……」 「大友くんは体のサイズ的に鮭じゃないのかしら……」 「麗ちゃん! 」 「吉良さんのカスタードはわかる気がするなぁ」 「佳子ちゃんまで」 「軽薄そうだもの」 「麗佳さん! 」  ──後で吉良が 「俺、軽薄そうなの? 」  と、聞いてきたが 「知らなかったのか? 」  と、返すと絶句していた。 「大友さん吉良さんごちそうさまでーす! さぁ、動くぞー」  相原さんの一言で仕事に戻った。 「私、内勤だからなかなか動く範囲が限られてるのよね。消費カロリーが……」  前の席の河合さんは、まだ気にしているようだった。思わず吹き出すと真っ赤になってしまった。
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