ショートストーリー

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「佳子ちゃん、今日一人? 一緒に昼行く? 」  吉良さんに誘われることも 「おー、一人か。んじゃ、一緒に昼行くか」  大友さんに誘われることもよくあったけれど、この日は違った。 「お昼、一緒に行きますか? 」  ……なんと、結城さんが誘ってくださったのだ。それは、初めてのことだった。  クールなイケメンとお食事だなんて緊張の最中に食事をとらなきゃならないけれど、イケメンの食事姿を拝見しながら食事をとりたいという気持ちに軍配が上がった。  にも関わらず、お弁当を持ってきていたために断るしかなかった。ああ、ガッカリ。  ところが、結城さんはすぐに帰ってくると、フリースペースでお弁当を広げていた私の前(!)にお座り下さると、サンドイッチを召し上がる。  私はそれをアリーナ席で堪能する。  サンドイッチ、具は何だろう。とにかく、こんなに綺麗にサンドイッチを召し上がる人などいらっしゃるのか。と、目に焼き付けた。  ふわりと、いい匂いがする。結城さんと、あれ、甘い匂い?  なんと、ミニたい焼きを買ってきて下さったのだ。いい匂い(ダブルミーニング)。たい焼きも……彼も。何気なく話したことを覚えいて下さったのだ。  顔も、記憶力もいい。完璧だ。ほんっっと完璧だ!
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