ショートストーリー

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 ──この日は大友さんと吉良さんもたい焼きを差し入れてくれた。  みんな、何気なく話したことをよく覚えているものだ。顔よし!記憶力よし!完璧!ほんっっとこの会社で良かった!!!  ついでに、みんな外回りだから消費カロリーが高いわけで、いや、元々この人たちは太らないんだろうな。私とは違う。帰り、一駅くらい歩いて帰ろうか。そんなことを思っていると、パソコン越し、目が合った結城さんが、ふっと笑ってくれた。……心臓がっ!お腹いっぱいで眠たくなっていた体が一気に目覚めた。いやあ、幸せ。目が幸せだ。結城さんが笑うととっても得した気分。エナジードリンクより、結城さん(イケメン)の方が効果ある!  この日はずいぶんと仕事が捗った。  それにしても、結城さんって無口だ。あんなに無口で営業が出来てしまうのだから、何て凄いのだろう。つい、いらぬことまで喋ってしまう私とは正反対だ。見習わなくてはいけない。  だけど、無口ながら何か仕事で話す時とか、ちょっとした所作から誠実さが伝わってくる。私のつまらない雑談にも目を見て相づちを打ってくれる。たい焼きも買ってきてくれたし、……とってもいい人だ。  入社してきた時に比べたら喋ってくれることも増えた。ただ、大友さんや吉良さんには割りとフランクに喋っていて、女性には敬語で話す。少し寂しい気もするけれど、あまり心理的に近づいて欲しいタイプではないのだろう。  まあ、いいか。クールなイケメン、それもまたよき!
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