ショートストーリー

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 大友さんも吉良さんもイケメンだけど、緊張しないイケメンだ。  結城さんはなぜか緊張してしまう。何となく距離を置かれているからこちらも緊張するんだと思う。 「河合さん、このペンあなたのではありませんか? 私のペンスタンドに入ってたのですが」 「あ、どこで失くしたのかと思ってました。ありがとうございます! 」 「いえ」  手渡してくれる瞬間に、微かに笑ってくれた気がした。緊張するイケメンだ。  お昼ご飯も誘って貰えて、嬉しかったなあ。……今度、麗佳さんとるなちゃんがいないお昼は私も声をかけてみようかな。また一つ楽みな時間が増えた。  ミニたい焼きを頭からちびちび食べてる結城さんを思い出し、うーん……お上品な食べ方、かぶりついた私とは正反対だけれど、頭から食べるのは一緒だったな。なんだかちょっと、嬉しい。  結城さんも甘いものお好きなんだろうか。たい焼きを食べるイケメン。良いもの見た。幸せ、幸せ。  ──残念ながらこの日以来、お昼休みに結城さんと二人になることはなかった。  ……私がまだ結城さんと自然に話せていたころの数少ない思い出だ。
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