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彼女はいつも唐突で突拍子もない。
「コラボってさ、どういう意味だろうね」
「協力・連携・共同作業」
「うん。すっごいことだ……」
何がだろうか。この日も思ったが、自己完結したらしい。一人うんうん頷いていた。何のことか分からないが……まあ、いいか。
――彼女はここ最近、時々、心ここにあらずといった感じだった。
そして、職場でも横の席の中条さんと
「いよいよ明後日ね」と話していた。それから、
「いや、私は行かないよ。だってすごい人だと思うよ。それにさ、だ、ダイエット中だし」
そう必死に否定していた。いや、逆に変だろう、それ。
「オープン記念でプレゼントがあるらしいけど、行かない」だなんて。気になって仕方がないのだろう。その様子にわずかに肩が揺れてしまった。
横の席の男、吉良が目ざとく気づき、
「連れてってやんなよ」
と俺に耳打ちする。すっと出された手元には明後日オープンする店のチラシがあった。
こらえきれずに吹き出す。
“オープン初日”“抹茶”“コラボ”
人気洋菓子店N.Quatre quartと老舗和菓子屋の望月庵。それに、有名お茶屋の入ったカフェ&がオープンするらしい。
「なるほど」
――その日、家に帰ると、彼女と向き合った。
「明後日、せっかくだから行ってみない? &」
彼女は一瞬ぱぁっと顔を明るくしたが、すぐに俯いた。
「でも、明後日は初日ですっごい人だと思うの。結城さん人込み嫌いだし、甘いもの苦手だし、申し訳ないし、それに、ちょっと太ったし! 私、今、ダイエット中でっ」
なるほど。まぁ、ダイエットは必要ないと思うからさておき、俺に気遣って言い出せなかったのか。なぜなら、“日曜は俺の”だからだ。
「ふっ」
我慢しても漏れるほど行きたいってどんなだよ。彼女は吹き出した俺に真っ赤になった。
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