第1話 side yoshiko

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「で、あの顔で採ってる会社、どうよ? 」  と、由美が話を振って来る。 「顔で採ってるゆーな! 」   じーっと私の顔をみて 「うん、取ってない、取ってない」  ……しみじみ言った。  プーっと頬を膨らませる。 「例外デスガナニカ? 」 「すねるな、すねるな」  みんなが笑う 「いや、ほんとめちゃめちゃ美形集団なのよー」  由美は一度会社近くで会ったことがあるのだ。 「いーなぁ、ホワイト企業に美形集団」 「あのメンツに囲まれて過ごせるならブラックでもいいわ」由美がうっとり言う。 「えー!マジ紹介して!! 」  奈緒が言う。もちろん冗談だ。 「こら、子持ち!! 」 「ときめきがほしーのじゃーー」 「そんな人達見てて、惚れちゃわない?」  愛美が真顔で聞いてくる。 「うーん、俳優さん見る心境と似てる。リアリティがない。美形すぎて……」 「「観賞用」」全員の声が揃う。 「前世で素晴らしい功績を残しすぎて、今ココ」 「え、どうせなら美形に囲まれる功績より、美形になる功績がよかったね」  由美の鋭いつっこみ。 「うっ……、ごもっとも。功績残したのは、私じゃなくてあちらでした件」 「今世でもっと徳を積んで下され」 「来世は絶世の美女」  馬鹿なことを言い合って、あっという間にお開きになった。  ──楽しさの余韻を残したまま家に着くと、静けさとのギャップで急に現実を突きつけられた様だ。  結婚かぁ。加奈、幸せそうだったなぁ。由美も。いいなぁ……  スマホをチェックすると恋人の大輔からのメッセージが届いていた。 『女子会、楽しかった? 俺も今帰った~』  こうして毎日仕事終わりにメッセージをくれる。 『うん。笑いすぎてほうれい線深くなったわ』  それと…… 『加奈が結婚するって。由美も』  と打ちかけて一文字づつ文字を後退させて消した。何だか、結婚したいって遠回しに匂わせるみたいで送れなかった。  大輔とは言いたいことは言い合う関係だし、将来のことを話す事もあった。  でも、なぜか今は……。  それから2、3メッセージのやり取りが続きその日は眠りについた。
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