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「で、あの顔で採ってる会社、どうよ? 」
と、由美が話を振って来る。
「顔で採ってるゆーな! 」
じーっと私の顔をみて
「うん、取ってない、取ってない」
……しみじみ言った。
プーっと頬を膨らませる。
「例外デスガナニカ? 」
「すねるな、すねるな」
みんなが笑う
「いや、ほんとめちゃめちゃ美形集団なのよー」
由美は一度会社近くで会ったことがあるのだ。
「いーなぁ、ホワイト企業に美形集団」
「あのメンツに囲まれて過ごせるならブラックでもいいわ」由美がうっとり言う。
「えー!マジ紹介して!! 」
奈緒が言う。もちろん冗談だ。
「こら、子持ち!! 」
「ときめきがほしーのじゃーー」
「そんな人達見てて、惚れちゃわない?」
愛美が真顔で聞いてくる。
「うーん、俳優さん見る心境と似てる。リアリティがない。美形すぎて……」
「「観賞用」」全員の声が揃う。
「前世で素晴らしい功績を残しすぎて、今ココ」
「え、どうせなら美形に囲まれる功績より、美形になる功績がよかったね」
由美の鋭いつっこみ。
「うっ……、ごもっとも。功績残したのは、私じゃなくてあちらでした件」
「今世でもっと徳を積んで下され」
「来世は絶世の美女」
馬鹿なことを言い合って、あっという間にお開きになった。
──楽しさの余韻を残したまま家に着くと、静けさとのギャップで急に現実を突きつけられた様だ。
結婚かぁ。加奈、幸せそうだったなぁ。由美も。いいなぁ……
スマホをチェックすると恋人の大輔からのメッセージが届いていた。
『女子会、楽しかった? 俺も今帰った~』
こうして毎日仕事終わりにメッセージをくれる。
『うん。笑いすぎてほうれい線深くなったわ』
それと……
『加奈が結婚するって。由美も』
と打ちかけて一文字づつ文字を後退させて消した。何だか、結婚したいって遠回しに匂わせるみたいで送れなかった。
大輔とは言いたいことは言い合う関係だし、将来のことを話す事もあった。
でも、なぜか今は……。
それから2、3メッセージのやり取りが続きその日は眠りについた。
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