プロローグ

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 親しい友人の結婚報告は嬉しいし、心から祝いたいと思う。  比率としてお祝いしたい気持ちの方が多く占めているのは、彼女が旦那さんとなる純君と出会った時から報告を受け、見守っていたのが、ついにゴールインという感慨深さからだろうか。  自分が報告する側になる時には、きっとみんな同じ気持ちでいてくれるだろう。おそらく、その日はそう遠くないだろう。  と、思う。  その安心感もあるにせよ、寂しさはどうしても感情に含まれる。 「リアルな年になったなぁ……」  続いて、『近々集合! 』のメッセージ。直接“結婚報告”がなされるのだろう。  集まりをまとめてくれるのはいつも由美だ。今回加奈が結婚となると、由美と私だけが独身になる。  手帳を開き、予定を確認する。コーヒーを口に含むと、ミルクで和らげられた心地良い苦さが広がる。  それぞれが空いてる日付を打ち込み、しばらく通知音が静かになった。 『今週金曜日に集合! 18時半にいつもの所! 』  由美があっという間にまとめてくれる。 「仕事、早ッ! 」  いつもの広目の個室のあるご飯屋さん。子持ちもいるので、集合はやや早めだ。  開いたままの手帳に予定を書き込むと、手帳を閉じ、飲みやすい温度になったコーヒーをすする。  焦燥感、それに、疎外感だろうか、寂しい。そんな感情が混ざって、それを振り払う様に 「おめでとう」と、呟いた。
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