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数人の足音と声が聞こえ、ゆっくりと近づいてくる……。
きた!帰ってきた!!お、お向かいの席の方も!!!
「おはよー」
「おはようございます」
口々に挨拶をしてそれぞれが席に着く。大人な皆様は昨日の事をスルーして下さっている。だけど、時々向けられる心配そうな視線に気遣いを感じる。
いや、もうぜんっぜん大丈夫なんすわ。忘れてました!さっきまで!えへへー。なーんて、言えるわけもなく……手元の書類に目を落とす
「あ! そうだ……これ、今週中に記入して提出していただけますか? 私、まとめて上に持っていきますので」
そう言って、書類を順に手渡した。
「あと……業務中に失礼します。昨日はご迷惑をおかかけして、すみませんでした。そして、ありがとうございます」
「とんでもございませーーん」
るなちゃんが何でもないように明るく言ってくれる。
「うん」
そう言って麗佳さんがポンポンと背中を叩いてくれた。
「色々あるよね……」
そう言ってニッと笑う吉良さん。軽くウィンクする。他の男がしたら、指差して笑ってしまうジェスチャーも彼がすると自然かつ胸キュンポージングだ。体の細胞が急にヤル気を出す。
はぁ、眼福……。じゃ、ねーや。ありがたいな。優しさにじんわりくる。
そして、向かいの席だってのに1度も見ることが出来ていないそちらの方向にそおっと目を向ける。バチっと目が合い
もう何回目かもわからないけれど……石化した。
「すみません、河合さん。これなんですが……」
パソコン越しに書類を出し、説明を始められた。はい、信じられないくらい平常運転。かんっぺきに、意識してるの私だけ。
そして、これももう何回目かわからないけれど……やっぱり夢?妄想?とリフレイン。
人を石にしといて、放置。いや、石になっているのも気づいてないのか。自分の能力を知らない、罪作りな美しきメデューサ。
「それと……」
「はい」
「昨日のカップの件、有効ですので」
そう私にだけ聞こえるようにおっしゃったもんで……夢じゃ無かったらしく……石像ならぬ赤像になった。
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