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 とはいってもそんなに多くの案があるとも思えないし、おそらく最も効果が高いと見込んでいるから志賀も提案してくれたのだろう。 「金谷さんに相談してみます。それが最もデメリットが少なく有効な手段だと思います。福士さんと僕は既に噂になっているようですし、もし一部にセクハラが広まっても大して差はないでしょう」 「君が納得した上で決めたならそれでいいと思う。でも、既に福士さんとの噂が出てるんだ? 配属されて一ヵ月しか経っていないのに早いな」  志賀は苦笑した。麻木に関する噂は常にいくつも浮上しているからめずらしいことではない。だからいちいち気にしていないのだろう。 「八奈見さんとの時もそうでしたが、噂というのはどれだけ事実と異なる、不確かかついい加減なものかがよくわかります」 「そうだね。だから気にしないでいい。八奈見が異動になったからあいつとの噂は消えていくだろうし。福士さんと離れたら噂もなくなっていくと思うよ」 「しかしまた新たな方との噂が出そうですが」  ため息をつくと、はは、と笑われた。 「そうかもしれない。でも逆に毎回噂になれば『またか』と思っていつか誰も信じなくなるよ」
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