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「僕が次から次へと男性を手玉に取っていると思われていないでしょうか」
「そう思わせる美貌だから仕方ないのかもしれない。美人税だよ」
美人税だと言われても。好んでこの顔に生まれていない。それは普段得をしている美人が少しくらい損があっても仕方ないという意味合いで使う言葉じゃないのか。得などしたことがない。むしろ損ばかりだ。
「損ばかりしているのにさらに税まで取られるなんて不条理です」
「でもその美しさは君を好きになるきっかけになったから。俺は君が綺麗で嬉しいし、毎日見とれているよ」
また歯の浮く恥ずかしい言葉が出てきて、どう反応していいのかわからなくなる。
嬉しいような、困るような、傷つくような。
「やはり志賀さんは僕の顔が好きなのですね」
「きっかけだってば。美人なら他にもいる。君の感情表現の無器用さや内面に触れるうちにどんどん惹かれただけだよ」
「じゃあ僕よりもっと美しく、もっと好みの内面を持つ人が現れたらそちらに行きますか?」
こんな女々しい疑問を突きつける自分はさぞかし鬱陶しいに違いない。どうせ志賀は否定することしかできないのだから、この手の質問はまったく意味がない。
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