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 静かにキスをして、それが甘美な熱を伴いつつ深くなってくると、ゆっくりと背面に倒された。 「さっきはごめんね」  うなじにくちびるを這わせながら囁かれた。それによって既に忘れかけていたことを思い出すこととなった。 「そういうつもりはなかったけど、威圧的な言い方になってたかな」 「いえ。僕が質問攻めにしてしまったので」 「質問していいって言っておいて有無を言わせない態度になってたら矛盾もいいところだよな。別に怒ったんじゃないよ。だから気にしないでほしい」  どう考えても気にしているのは志賀のほうだと思った。だって麻木は眠気もあったが、すっかり先ほどのことを記憶から消しかけていたというのに。 「もう気にしていません」 「本当に?」 「本当です」 「俺のこと嫌いになってない?」 「それくらいで嫌いになりません」 「そう。良かった」  安堵してくれたのか、志賀は目尻から頬にかけてくちづけてきた。じれったく髪を梳いてきて、瞼にも、額にも、キスが降らされる。くすぐったいような甘い感覚に酔いしれる。 「君も色々不安を持ってるのかもしれないけど、俺だって不安なんだよ」  そこで志賀が自らの気持ちを吐露してきたので、はっとして彼の表情を見るため顔の向きを変えた。
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