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「特捜部だけがカッコイイと思っているわけではありません。法廷での検事としての仕事も素晴らしいと思っています」
「だけど君は、身体が丈夫なら警察に入りたかったって言ってたよね?」
「ええ。でも今は裁判官の仕事に誇りを持っていますし、仮に今から警察に入れるとしてもそうしないでしょう」
「そうなんだ。てっきり入れるなら入りたいのかと思ってたよ」
「憧れが残っているというだけの話です。子供のころ野球選手に憧れていたとしても、大人になれば別の職業に就くでしょう。でも野球が好きなことに変わりはないから草野球チームに入ったり、プロチームを応援したりする。だからといって別に今さらプロ選手を目指しているわけではない。それに似ています」
「なるほどね。そういう感情だったのか。よくわかったよ」
納得してくれたのか、志賀はそれ以上追及してこなかった。
「志賀さんはずっと検事になりたかったのですか」
「そういうわけじゃないよ。たまたまかな。子供のころから目指していたとか憧れていたわけじゃない」
「ではなりたいものはなかったのですか」
「うーん。色々夢はあったけど、一番は料理人かな」
それはそれで天職だったのではないだろうか。才能は言うまでもないし、今既にプロ並みだと思う。
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