6046人が本棚に入れています
本棚に追加
「今まで話さずにきたのは君にがっかりされたくなかったからだよ。俺にいいイメージを持ってくれてるみたいだったから。要するに嫌われたくなかった」
「嫌うなんて…そんなことは絶対にないです」
それだけは断言しておかなければと思った。どんな過去があろうとも、もしそれが世間から後ろ指指されるような種類のものであっても、だからといって志賀自身を嫌いになることはない。絶対に、だ。
「そう言ってもらえて少し安心したよ」
『少し』と言ったのはおそらく、まだ麻木がその話を聴いていないせいだろう。リアクションを見てからでないと完全に安心できないに違いない。
「約束します。その話をされても志賀さんへの気持ちは変わりません。好きです…から」
志賀がもしずっとそれを案じていて、そのために言えずにいたなら申し訳ないと思った。彼への愛情は確固たるものだと伝えて、安心させたいと思ったから言った。
「ありがとう。俺も、誰よりも深く君を愛してるよ」
言い終わると同時に、また彼のくちびるが自分のそれと触れる。
次第に息が乱れるほどに快楽の波に呑まれていく。
「…っ…」
志賀のくちびるは耳朶からうなじにかけて滑り、性感帯というのか、敏感な部分を掠めるとびくりと反応してしまう。焦らすようにそこを避けて旋回するものだから、なおのこと欲情をかき立てられてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!