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「君は俺のストーカーか」  ふり返ってしかめっ面で釘を刺されたが、今さら八奈見に叱られたところでへこみはしない。  むしろつっけんどんに冷たくあしらわれることでほっとした。そうだ、この空気感が自分にとって居心地がいいものだったと思い出したからだ。  昼食を取ろうと執務室を出て、エレベーターでロビーに降りたところで八奈見を発見した。  どこに食事に行くのだろう、と何となく彼の後方をついていき、要するに尾行するような恰好となった。  それでも裁判所を出て数十メートルほど歩いたところで八奈見に気づかれてしまった。 「すみません。尾行するつもりはなかったのですが」 「つもりはなくても尾行しているだろうが」 「よく気づきましたね」 「すれ違う男たちが俺の後方に注目して歩いてるんだ。後ろに一体誰がいるんだと不思議に思って当然だろ」  そういうことか。こんな時衆目を集める自分の顔が改めて恨めしい。 「どちらに昼食に行かれますか」 「どこでもいいだろ」 「よろしければ僕もご一緒して構いませんか」 「嫌だ。来るな。もう君と関わるのはこりごりだ。未だに君と俺の噂が根強く残ってるのは知ってるだろ」
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