プロローグ...ハルベリア

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なぜ、ただの騎士のひとりである俺が、 王女の彼女の名を敬称略して呼ぶかというと‥‥ それはもちろん、本人がそれを望むからだ。 俺から、王女やセレ王女、あるいは殿下と呼ばれるのは どうも鳥肌が立つほど気持ち悪いらしい。 それから、彼女自身、 あまり『王女』と呼ばれるのを好まないのが事実。 何故だか彼女は、王女であることを隠したがる。 だがもちろん、このハルベリア国で王女の顔を知らない者はいない。身分を隠したくとも、そう簡単に隠せるようなものではない。 なにより、気品というのは無意識に表れるものだ。 俺としても、事実、王女である彼女の名を馴れ馴れしく呼ぶのはいかがなものかと引っかかるが、 まあ、セレは小さい頃からの友人だから無理もない。 俺としても、あまりにも堅苦しすぎるものは苦手だから、彼女からのその好意はありがたい提案である。 だが、もちろん、時と場合で使い分ける。     
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