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彼女は、王族、ハルベリアの第一皇女。現ハルベリアの王陛下を務めるのは、彼女の母であるシャルル・ハルベリアだ。それも、じきに世代交代するかという微妙な時期。そんな位の違いすぎる彼女が、俺がこんな口の聞き方をしていると他の衛兵達に見られてしまうのもあまり良くない。
が、おそらくみんなわかっていて目を瞑ってくれているところもあると思うが。
しかし、何故彼女がこんなところに?
とぽかんと口を開けたままの俺の表情を見ては、
ムスッと目を細めたセレ。
あぐらで座り込む俺を、見下しながら睨みつける。
セレ「居眠りとはいい度胸ね、門番さん。」
いま現代、他国とも休戦中。
まったくもって戦争の兆しも無く、
退屈すぎるくらいには平和な日々だ。
もちろん、こんなことは何よりも良い事なのだが。
だからこそ、少しくらい居眠りしようが、
その隙に、特になにかが起こるわけでもない。
さらに、近年は恐ろしいほどに静寂だ。ちいさな事件ひとつもない。
そうなれば、仕事に対して怠惰するのは必然。
正直、仕事中の居眠りは常習犯である。
ディサ「‥‥起きてたよ」
あくびをしながら、返事をする。
セレ「はあ?よく言えたものね。
‥‥何度、起こしたと思ってるの。」
はあ、と彼女はひとつ大きなため息を吐く。
セレ「私はあんたの腕を買ってここに置いてるの。
おねがいだから、しっかりして頂戴。」
威圧的に腕を組んで、俺を叱る。
そう。その言葉の通り、
8年ほど前‥‥俺が16歳になる時に、
ハルベリア城の騎士のひとりに、と
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