第一話 夜中のコールに御用心

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・・・・・・・・・・・・・・・・ 「せっかくお店にかけて来てくれたのに 電話にでれなくてゴメンね 今言ってくれればよかったのに・・・ 」 電話の向こうで 可愛いらしいハスキーな声が言った ジュンはシャワーを浴びたばかりの 上半身裸で首にタオルをかけ窓際に立ち 信じられない気持ちで口をあんぐりあけて スマホを握りしめていた どうしてかかってくるんだ? それに店って言ったな・・・・ やっぱり彼女は風俗嬢なんだ それじゃユリアって名前は 芸名かもしれない ジュンの良心の呵責が少し和らいだ 「今は中国にいるんでしょ? 出張ご苦労様・・・・ 来週の今頃には戻ってこれるわよね?」 出張? 彼氏は中国に出張してるのか? それじゃ今週いっぱいは彼女は フリーってわけか・・・ って何を考えているんだ ジュンは額から流れてくる嫌な汗を拭いた 間違い電話だと告げて電話を切るんだ! それで終わりだ! 正しい事をしろ! そう自分に言い聞かせるが 舌が上顎に張り付いて言葉が出てこない 「良ちゃん?・・・・ 大丈夫?         風邪でもひいたの?   」 心配そうな彼女の声 「うん・・・・まぁ・・・ 実はそうなんだ・・・」 ジュンはわざとらしく咳をした 何を言ってるんだ? 俺は?
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