第一話 夜中のコールに御用心

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芝生の両側でバラが咲き誇っている 噴水がそよ風を受けて小さな 水滴を飛ばしている ここ数日は御堂筋は暖かな日が続いていた 2月の午後だというのに太陽は輝き 関西一の豪華な結婚式場の上には 雲一つない水色の空が広がっている 天気予報によれば 異例の暖かさと晴天は来週まで続くそうだ 披露宴会場となる温室は 春の日差しが注ぎ込む上に 暖房が完備されているので ノースリーブのビスチェドレスでも ユリアはまったく寒さを感じなかった 「ブライドメイドを引き受けてくれて ありがとう」 みゆきが嬉しそうに言った 「どういたしまして 」 ブライドメイドの佳子とユリアは 薄紫のビスチェドレスを着こみ 髪をアップにして花の髪飾りを 所狭しと頭に飾っていた オーガンジーのスカートがフワフワで 着心地もよくユリアは花嫁同様 みゆきが用意してくれた 素敵なドレスで気持ちが浮き足立っていた ヌーブラで3割増しの底上げ胸の ビスチェを両脇からひっぱりあげながら ユリアが言った 「そんなに寒くないわね よかった」
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