プロローグ

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   死にたいわけじゃないけれど、今度こそ死ぬかもしれない、と思った。  山間の谷に架かる鉄の橋。  その欄干に腰掛けて足をぶらぶらさせてみると、下に見える川は想像以上に遠かった。  たかが十メートルくらい、と甘く考えていたけれど、これは一歩間違えたら大惨事になる。  担任の鴨志田(かもしだ)があれほど心配していたのも無理はない。  彼の言っていた通り、飛び降り時の体勢によっては大怪我どころか命をも落としかねないのだ。  
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