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「どうした、翔。早く跳べよ」
こちらの怖れを感じ取ったのか、背後から尻を叩くような声が届いた。
振り返ってみると、幼馴染の鷹取隼人がいつもの制服姿で立っていた。
毛先を遊ばせたウルフヘアに、長身の程よく引き締まった体躯。
だらしなく着崩したブレザーの袖口からはスマホのカメラが覗いている。
「何もたもたしてんだよ。怖いのか? やりたいって言いだしたのはお前の方だろ」
カメラのピントを合わせながら、茶化すように笑う。
声が普段より弾んでいることから、すでに動画を撮り始めていることがわかる。
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