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「怖いなら、俺が代わりに跳んでやってもいいんだぜ?」
「遠慮しとく。また笑いのネタにされてもウザいし」
烏丸翔は再び川の方を見下ろすと、今度こそ欄干の外側に足を下ろして、その縁に立った。
邪魔なブレザーを脱ぎ捨て、シャツの胸元を緩める。
そうして手すりに掴まったまま谷底を覗き込んでみると、今にも川の中へ引きずり込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
下界から吹き上がる風に、艶のある黒髪がサラサラと揺れた。
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