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「あらら、入院? うん、うん……。あー、それはまた派手にやったのねえ」
事務室の電話を取るやいなや、雛沢つぐみは溜め息まじりに苦笑した。
のんびりとした声とは裏腹に、その内容は穏やかではない。
入院という物騒な単語に、周りのデスクの面々も密かに耳をそばだてる。
「まあ、程々にね。いつもの病院? うん、うん……。またお見舞いに行くわ。今日は仕事で忙しいから……。うん、またね」
手短に会話を終え、受話器を置く。
エプロンの肩紐を正しながら席に戻ると、同じエプロン姿の中年女性が隣のデスクから訝しげに尋ねた。
「なに。また翔くん? 今度は何やらかしたの?」
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