第1章

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  「あらら、入院? うん、うん……。あー、それはまた派手にやったのねえ」  事務室の電話を取るやいなや、雛沢(ひなさわ)つぐみは溜め息まじりに苦笑した。  のんびりとした声とは裏腹に、その内容は穏やかではない。  入院という物騒な単語に、周りのデスクの面々も密かに耳をそばだてる。 「まあ、程々にね。いつもの病院? うん、うん……。またお見舞いに行くわ。今日は仕事で忙しいから……。うん、またね」  手短に会話を終え、受話器を置く。  エプロンの肩紐を正しながら席に戻ると、同じエプロン姿の中年女性が隣のデスクから訝しげに尋ねた。 「なに。また翔くん? 今度は何やらかしたの?」  
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