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アメとムチを使い分けるのは、将来の旦那さま?
「うっう~ん」
「後5分ですよ、希姫
きひめ
お嬢様」
「ううっ…」
最後の一問がどうしても解らない!
そもそも数学って苦手なのよねぇ。
覚えなきゃいけないことはたくさんあるのに、問題に出るのはほんの少し。
覚えきれないってーの!
プリントを睨み付けるも、解き方はいっこうに浮かばない。
「ちなみに解答欄を一つでも空白で提出した場合、お仕置きですからね」
「ひぃっ!」
その言葉に、思わず背筋が伸びる。
「かっ書きます書きます!」
シャープペンを改めて握り、必死に記憶を手繰り寄せる。
唸りながらも、残りの僅かな時間でなんとか空欄は埋めた。
「―はい、終了です」
「なっ何とか終わったわ」
ぜぇぜぇ息を切らしながら、プリントを差し出す。
33歳になる彼は、神経質そうにメガネを指で上げた。
そして赤ペンを取り、プリントを机に置いて、恐るべきスピードで採点する。
結果、86点。
「あうぅ…」
「まあまあですかね。本当は90点台が好ましいのですが」
やっぱり最後の一問に、大きな×が付いている。
ここで点数を削られたと言っても過言じゃない。
「お嬢様、方程式の使い方が不器用ですね。解き方が美しくありません」
「…悪かったわね。ブサイクな解き方で」
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