アメとムチを使い分けるのは、将来の旦那さま?

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コレでも必死に思い出しながらやったのだ。 わたしとしては、自分を褒めてあげたいぐらいの高得点。 「しかし拗ねている場合ではありませんよ? 結婚式まで、一年を切っているんですから」 わたしの耳元で低く囁き、先生の手がわたしの肩に回された。 「わっ分かっているわよ!」 赤くなる顔を俯いて隠し、わたしは彼の魔の手から逃げた。 「首席卒業までとはいきませんが、せめて成績優秀者として卒業してくださいね。あなたは私の妻になるんですから」 「…分かっているわよ」 「では間違えたところの復習をしましょうか。ノートを開いてください」 …幻聴だろうか?  『復習』が『復讐』の意味に聞こえるのは。 「はぁい」 しかし考えてもなんなので、深くため息を吐きながら、わたしはノートを開いた。 先生とわたしの結婚まで、あと数ヶ月―。 何でこんなことになったのだろうと、今更ながら思う。 …まあ自業自得なんだけどさ。  思い起こすこと15年前の春。 わたしはまだ当時、3歳の少女だった。 ウチの家はいわゆる資産家で、金と権力と地位を持つ家系だった。 家も大きな洋館で、メイドや執事などの使用人も合計30人はいる。     
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