159人が本棚に入れています
本棚に追加
コレでも必死に思い出しながらやったのだ。
わたしとしては、自分を褒めてあげたいぐらいの高得点。
「しかし拗ねている場合ではありませんよ? 結婚式まで、一年を切っているんですから」
わたしの耳元で低く囁き、先生の手がわたしの肩に回された。
「わっ分かっているわよ!」
赤くなる顔を俯いて隠し、わたしは彼の魔の手から逃げた。
「首席卒業までとはいきませんが、せめて成績優秀者として卒業してくださいね。あなたは私の妻になるんですから」
「…分かっているわよ」
「では間違えたところの復習をしましょうか。ノートを開いてください」
…幻聴だろうか?
『復習』が『復讐』の意味に聞こえるのは。
「はぁい」
しかし考えてもなんなので、深くため息を吐きながら、わたしはノートを開いた。
先生とわたしの結婚まで、あと数ヶ月―。
何でこんなことになったのだろうと、今更ながら思う。
…まあ自業自得なんだけどさ。
思い起こすこと15年前の春。
わたしはまだ当時、3歳の少女だった。
ウチの家はいわゆる資産家で、金と権力と地位を持つ家系だった。
家も大きな洋館で、メイドや執事などの使用人も合計30人はいる。
最初のコメントを投稿しよう!