159人が本棚に入れています
本棚に追加
小さな頃から、パーティーやお茶会に呼ばれ、または呼んでいたので、大人相手でも怖気づくことなく、接していた。
…それが災いしたんだろうな。
3歳の春の日、ウチの両親が家に先生の家族を招いていた。
わたしの両親と、先生の両親は古い知り合いで、昔から良く家に遊びに来ていた。
そうしてわたしと先生は出会った。
あの日は大人達が話題で盛り上がり、わたしと当時18歳の先生は、中庭で遊んでいた。
庭は庭師が丁寧に手入れされていたけれど、タンポポなどの花も咲いていた。
わたしは先生に花冠の作り方や、植物についていろいろ教えてもらっていた。
「スゴイねぇ! おにいちゃん、先生みたい」
物知りな先生を、わたしは本当の先生のように慕った。
「そうですか?」
「うん! お花の冠も、上手にできたし」
白詰草で編んだ冠は、ちょっと形は崩れていたけど、何とか編めていた。
「それは希姫お嬢様が器用だからですよ」
そう言って優しく微笑むと、わたしの手から花冠を取って、頭の上にそっと置いてくれた。
「どう? お姫さまみたい?」
「ええ、可愛らしいですよ」
その時、あんまりに優しく微笑むから…わたしの胸は高鳴ってしまった。
わたしはテレを隠すように背を向けた。
先生は当時からメガネをかけていて、キレイな黒髪をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!