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一見は冷たそうな文学青年っぽかったけれど、わたしにはとても優しかった。
…同時は(遠い目)。
視線を動かした先に、黄色いタンポポが目に映った。
わたしはキレイに咲いているタンポポを一本摘んだ。
そして良いこと…本当はとんでもないことを思いつき、笑顔で振り返った。
「ねぇ、おにいちゃん」
「何ですか?」
「左手、出して」
「良いですよ」
先生は笑顔で左手を差し出してくれた。
わたしは自分よりも大きな手を取って、先生の薬指に、タンポポを巻きつけた。
「コレは…」
「えへへ。結婚指輪♪」
わたしは顔を真っ赤にしながら、微笑んだ。
「おにいちゃん、将来わたしと結婚して!」
ゴブッ★(心の吐血)
おっ思い出しただけでも、ダメージがっ!
心臓と頭が変な動きをする。
先生はキョトンとし、薬指に巻きつけられたタンポポとわたしを交互に見た。
そして次の瞬間、笑顔で言われた一言は、今の人生を狂わせた。
「ええ、いいですよ。希姫お嬢様が18になりましたら、結婚しましょう」
「ホント!? 嬉しい!」
わたしはすっかり舞い上がって、先生に抱きついた。
先生は優しく抱きとめてくれた。
「ええ、本当です。私は希姫お嬢様に嘘はつきませんよ」
「うん! じゃあ絶対の約束よ?」
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