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先生は自分自身のことについて、何を言われても動じない。 けれどわたしが絡めば、話は変わってくる。 特に女性の方の言葉に、怒りを感じたらしい。 恐ろしいほどの気迫で、睨み付けている。 「私のことについてとやかく言われるのはともかく、お嬢様のことについては余計なお世話です。―行きましょう、お嬢様」 「えっええ」 先生はわたしの手を握り締め、歩き出す。 「おっおい」 「ちょっと待ってよ!」 「えっと…先生、良いの?」 「構いませんよ。お嬢様のことを悪く言う輩とは、口も利きたくありません」 わー、手厳しい。 「でもあの二人の言うことも、分からなくはないわね」 「お嬢様?」 先生は立ち止まり、怪訝な表情を浮かべて振り返った。 「だって先生は優秀だし、わざわざウチに婿入りしなくても、一人でも仕事を成功させそうだもの」 「しかしそこに希姫お嬢様がいらっしゃらないのでしたら、私にとっては意味ないですよ」 「自分で会社を立ち上げよう、という考えは全くないの?」 「ええ、全く。ああでもお嬢様がなさりたいんでしたら、お付き合いしますよ。何か会社を作りたいんですか?」 ……妙な方向に話がそれ始めた。 わたしは深くため息を吐き、歩き出した。     
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