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わたしにとって先生は、身内の兄みたいな存在でもあるんだなぁ。
そんなことをぼんやり考えながら、先生と腕を組み、歩いた。
…考えてみれば、わたしの全てが先生でできていると思ってもおかしくはない気がする。
勉強や運動の先生でもあるけど、料理を作って食べさせてもらったり、私生活でも面倒を見てもらっている。
そのことが決してイヤじゃない…というより、自然と溶け込んでいるのが、不思議な感覚だ。
「自分の半身ってことなのかしら?」
先生からもらったタンポポの指輪を、左手の薬指にはめて、眺めながら呟いた。
ちなみに先生は今、お風呂の準備をしている。
今日は一緒に入りたいと言ったら、じゃあフラワーバスにしようと、先生が言い出したからだ。
フラワーバスとはお風呂に、花びらを浮かべたり、またオイルを入れたりして、スゴク気持ちが明るくなる。
…やっぱり疲れている心を、見抜かれていたみたい。
だからわたしは自分の部屋で、椅子に座りながらぼんやりと考えていた。
自分の半分が、先生。
…うん、意外と合っている気がする。
いなくなることなんて考えられないし、離れることも思い付かない。
それは彼が自分の半分だから、と考えればしっくりくる。
「お嬢様、お風呂の準備できましたよ」
「はぁい」
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